「真空調理の父」谷孝之の真空調理ポータルサイト

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真空調理の基礎知識

(2)真空調理の特徴・メリット

1)調理上のメリット
①密封効果
 煮物などの調理を行う場合、鍋の中に食材を水や出汁と一緒に入れて加熱しますが、その際食材に含まれる旨味成分や栄養素が汁の中に流出してしまいます。
 真空調理では食材をフィルムの中に密封して加熱するため、旨味や風味・栄養素・ビタミンなどを食材の中に閉じこめた状態で調理ができます。
 違いは、皮を剥いて適当な大きさに切ったリンゴを水と一緒に鍋で茹でた時と、真空パックして鍋に入れ茹でた時の味を較べてみてください。 味と食感・香りの違いをはっきりと確認いただけることと思います。
 この密封調理によるメリットは、おいしく・食べやすいことに加えて、栄養価の高い食事が望まれる病院や高齢者介護施設で真空調理の導入が進む大きな要因となっています。
密封効果
鍋で茹でた場合と真空パックして調理した場合を比較。
真空調理の場合は、リンゴのおいしさ、旨味、香りも生と同じ味が残っていた
②低温加熱効果
 真空調理では、真空包装された食材をスチームコンベクションオーブンのスチームや湯煎器のお湯の熱を利用して、比較的低温度で加熱を行うのが基本です。
 これは、空気の断熱作用を排除することで、スチームやお湯の持つ熱カロリーを効率良く食材に浸透させることができるという、真空調理ならではの加熱構造原理がもたらす大きな特徴です。
 食材を低温で加熱することは、食材が持つたんぱく質の凝固や水分の流出を抑制できるため、ジューシイで軟らかく、旨み成分の歩留まりの高いおいしい料理の仕上げにつながります。とりわけ、牛肉や鶏肉の調理において、その効果が高く、一流ホテルやレストランでは独自の創作料理の開発などに積極的に活用されています。
 こうした低温加熱がもたらす効果の科学的な検証結果を、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構「食品総合研究所」食品工学領域長の五十部 誠一郎氏が2011年度の日本食品工学会で発表されましたので、以下にそのデータの一部を紹介します。
鶏胸肉の「低定温加熱効果」1
鶏胸肉の「低定温加熱効果」2
③酸化抑制効果
 鉄が錆びたり、食物が傷んだりするように、物質が劣化する最大の原因は、空気中の酸素が化学変化を起こさせたり、バクテリアの繁殖を促すことにあるといわれています。
 食材を真空状態、すなわち酸素の無い条件下に置いて調理を進める真空調理は、酸化による食品の劣化を抑制することができ、0〜3℃のチルド帯の温度で保存すれば、変色もなく新鮮な時のおいしさを相当期間保つことができます。
 特に病院や高齢者介護施設では、生活習慣病や老化の原因要素とされる活性酸素の働きを抑制する真空調理は、治療食や予防食に大きなメリットをもたらします。
④二次汚染防止効果
二次汚染防止効果
 「真空包装」状態で加熱・冷却・冷蔵保存を行う真空調理では、汚染された空気や手・指などが直接食材に触れることがないため、衛生管理の観点からも、安全・安心です。
 また、運搬・移動時のリスクも少ないので、宅配サービスや惣菜ビジネスでの活用にも大きな可能性を秘めています。
⑤味の浸透効果
 真空包装する際、真空包装機の中はオゾン層とほぼ同じレベルの減圧状態(0.2kpa)になっており、その強い圧力によって食材と一緒にフィルムに入れた調味液が、瞬時に食材組織の中にみ込みます。
 すなわち、加熱することなく糖分や塩分を少な目にした調味液でもしっかりとした味付けができるため、病院や高齢者介護施設などでの治療食の調理に大きく貢献します。
味の浸透効果
フィルムにカブと食紅を入れ、真空包装機にかける。真空包装後のカブは、食紅が中心まで浸み込んでいる
■その他にも下記のような調理上のメリットがあります。
⑥フィルム内で調理を行うため、味や仕上がりの均質化ができる
⑦水分が蒸発しないため、食材の歩留まりが良く、ロスが少ない
⑧煮崩れが少なく、美しく仕上がる